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<<   作成日時 : 2018/10/11 21:34   >>

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AIやクルマ…孫正義氏と豊田章男氏が対談30分

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日本経済新聞



2018/10/04 に公開

【日経電子版 映像】http://www.nikkei.com/video/
ソフトバンクグループとトヨタ自動車は4日、共同出資会社を設立する。孫正義氏と豊田章男氏。日本を代表する経営者2人が、AI(人工知能)やクルマの未来などについて語り合った。

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豊田章男が孫正義にどうしても頼りたい事情

ソフトバンクに求める「トヨタにはない」能力

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井上 久男 : ジャーナリスト
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2018/10/05 13:40

10月4日に開かれた会見では孫正義ソフトバンク会長兼社長(左)、豊田章男トヨタ自動車社長のトークセッションも行われた(撮影:風間 仁一郎)

トヨタ自動車とソフトバンクグループが10月4日、提携を発表した。新しいモビリティサービスの会社「MONET Technologies(モネテクノロジーズ)」を共同出資で設立する。新会社では、移動のビッグデータを人工知能(AI)で解析し、需要を先取りして配車できるようなサービスを提供していくことから始める。

トヨタは、「カイゼン活動」に象徴されるように、既存の手法を少しずつ改めていく漸進的な改革を得意とする。一方、ソフトバンクはM&Aを得意として、破壊的なイノベーションを推進してきた数少ない日本企業と言える。経営者像もまったく違う。トヨタの豊田章男社長は創業家出身の3代目で、ソフトバンクの孫正義社長は裸一貫からの叩き上げだ。

トヨタの株式の時価総額は日本企業で1位。そしてソフトバンクは2位だ。企業風土、経営哲学がまったく異なると言っても過言ではない両社がなぜ、結び付いたのか。提携内容についてはすでに主要メディアが報じているので、本稿では提携の背景とも言える自動車業界の大きな潮流について解説しよう。

トヨタとソフトバンクの間にある共通性

異質の両社だが、実は産業の変化の流れを捉える視点には共通性があった。筆者がそれを感じたのは、ソフトバンクが米国のロボットベンチャー、ボストン・ダイナミクスを買収したときだった。同社は軍事技術から生まれた企業で、段差があったり、石垣があったりと、どんな状況でも2足歩行しながら2本の手でモノを運ぶことができるロボットを開発している。グーグルの親会社からソフトバンクが買収したが、一時はトヨタも買収に名乗りを上げていた新興企業だ。

ボストン・ダイナミクスなど買収した企業の経営者らを日本で紹介した「ソフトバンクワールド2017」で、孫氏はこう語った。

「テクノロジーの進化によって医療、交通、農業といったあらゆる産業が再定義される。AIによるトラフィックデータの解析によって、道路交通状況は最適化され、タクシーは呼ぶ前に来る時代になるだろう」

そして筆者が最も注目した孫氏の発言はこれだった。

「我々が他社と競い合っていた回線数は70億回線が最大。これからは1兆回線の市場に広がる」

この意味するところは、地球上の人口は約70億人なので、人間向けに携帯電話などの販売競争をすると70億回線がマックスだが、あらゆるモノがインターネットとつながるIoT(モノのインターネット)の時代は1兆回線まで市場が膨らむかもしれないということだ。

あらゆるモノがネットにつながるためには半導体がモノの中に組み込まれなければならない。デバイスがリアルタイムでつながることで、そこにビッグデータが誕生する。そのデータを使いこなしてこそ、あらゆるビジネスで競争優位に立てるというのが孫氏の描く戦略だ。

世界の自動車保有台数は約13億台とも言われる。孫氏はクルマを「デバイス」と位置付けることで、大きなビジネスチャンスが生まれると見ている。当面、クルマを「デバイス」として有効活用できるのが、移動のニーズとデマンドをマッチングさせるライドシェアなどの配車サービスと言えるだろう。ソフトバンクがアメリカのウーバーや中国の滴滴出行(DiDi)などに出資して筆頭株主となっているのは、こうした狙いからだ。

クルマの「デバイス化」とは、言い換えれば「クルマのスマートフォン化」でもある。スマホはネットワークの中で位置づけられて、ビッグデータを創出する源泉の一つとなるし、また、そのビッグデータを活用するための「利器」ともなる。さらに言えば、これからの時代はスマホとクルマが融合する時代になっていくのである。

トヨタもこうした流れを確実に受け止めてきた。

トヨタ車のユーザーとトヨタが「つながる」場所

名古屋市内にある高層ビルの一角に、メディアにはほとんど公開されていないトヨタのオフィスがある。入室の際には静脈認証を求められるほど厳しいセキュリティだ。子会社のトヨタコネクティッドが運営する「コネクティッドセンター」である。文字通り、専用カーナビやスマホを通じて、トヨタ車のユーザーとトヨタが「つながる」場所なのだ。「先読み情報サービス」という情報提供システムもあり、目的地の設定をしなくても、これまでの走行履歴から行き先や経路を予測して、事故・渋滞・天候・残燃料の案内が運転中、ナビ画面に表示される。

以前は高級車「レクサス」にのみ、こうしたサービスを受けられる専用端末が標準装備されていた。それが対応カーナビを装着すれば、レクサス以外の車でも、スマホなどを経由して音声認識システムでのサービスが受けられるようになった。顧客との対話記録を蓄積してビッグデータ化して検索に利用するという。トヨタによる「クルマのスマホ化」とも言える。

このトヨタコネクティッドの前身、トヨタメディアサービス社は2000年に当時はまだ、ヒラの取締役だった豊田章男・現社長の肝煎りで設立された。トヨタが筆頭株主で、アメリカのマイクロソフトとセールスフォース・ドットコムが出資している。クラウド技術などはマイクロソフト社のものを使っている。

トヨタコネクティッドは、インフラづくりの役割も担っている。ビッグデータを解析し、交通安全などにも役立てているのだ。たとえば、冬場、指定された地域でABS(アンチロックブレーキシステム)が作動すると、その位置情報を、無線を通じてセンターが即時に吸い上げ、スリップする危険性がある地点として、他のドライバーへカーナビを通じて情報提供する。

グローバル展開を進めて、2016年にはアメリカ・テキサス州にマイクロソフトと共同で現地法人を設立、クルマのスマートシティへの統合などの事業を展開している。ビッグデータを活用して、一律ではなく、実際の運転パターンに合わせて保険料を決めるサービスも開始する計画だ。

ただ、トヨタのこうした取り組みは、あくまでトヨタ車のみからのビッグデータ取得となる。ターゲットを拡大していくには、他社との連携も重要となる。株主として世界のライドシェア業界を牛耳るソフトバンクと組んだ狙いの一つもこの辺にある。

提携はトヨタからソフトバンクに打診した

そして今回の提携はトヨタからソフトバンクに打診した。孫氏自身も「マジかと思って驚いた」と、10月4日の記者会見で打ち明けた。豊田氏も「トヨタとソフトバンクは相性が悪いという噂がありましたが……」と語った。トップ自身が両社はこれまで疎遠な関係で企業体質が合わないと認めたのも同然だ。

実は筆者は数年前、豊田氏の側近の一人からこんな言葉を聞いたことがある。「うちの社長が一番嫌いな経営者は孫正義だ」。なぜですか?と聞くと。「トヨタは育てる文化を大事にする。ソフトバンクは育てずに他社を買収して大きくなった。そしていつか純利益でトヨタを追い抜くと公言しているところが気に食わない」とはっきり言った。会見の場で豊田氏が「相性が悪い噂がある」と言ったのは、ご自身が「震源」なのである。

嫌いな会社にトヨタみずからすり寄ったのには理由がある。この2〜3年で自動車産業を取り巻く環境が大きく変化し、従来の価値観だけでビジネスを展開していれば劣後するリスクが高まってきたからだ。豊田氏はこの現状を「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬかの戦い」とたとえているほどだ。

ソフトバンクとの提携は、トヨタの危機感の表れでもある。この点についても解説しよう。トヨタの危機感は大きく次の2つだ。

@自前主義の限界

A大衆車のブランド消滅

自前主義の限界についてのポイントとしては、1兆円を超える研究開発予算を持つトヨタでも「クルマのスマホ化」など次世代技術への投資が大きな負担になっていることが挙げられる。研究開発の効率化が経営上の課題になっているのだ。これから競合相手となるグーグルの親会社であるアルファベットはトヨタの1.8倍、アマゾンは2.3倍の研究開発費を持っていることもトヨタは強く意識している。こうした課題をクリアしていくには、強いところを「持ち寄る」的な発想で外部企業との連携は不可欠と判断、これがソフトバンクとの提携につながった。

大衆車ブランドの消滅は、まだ現実には起こっていない問題だが、これから十分に起こりうることだ。

保有するより移動手段のサービスとしたほうが効率的

シェア経済の普及によってクルマを買わない人が増え始めている。サービスのプロバイダーであるカーシェアサービス会社から15分単位で必要なときにクルマを借りる。まったくクルマが要らないのではなく、必要なときにクルマがあれば良く、移動手段を自前で保有するのではなく、移動手段をサービスとして受けたほうが効率的という発想だ。税金、車検などの維持管理コストも不要となる。

こうした消費者との接点は、メーカーでも販売会社でもなく、プロバイダーだ。このプロバイダーを含め、サービスのビジネスモデル全体を構築するプラットフォーマーにあらゆる顧客情報などのデータが集まる。

そして、カーシェアを重用する消費者は、クルマのブランドやスペックなどはあまり気にしない。むしろサービス料金のほうを気にする。このため、サービス会社は過剰な機能は排除して安いシンプルなクルマをメーカーに求めてくる傾向が強まる。カーシェアの領域では、いずれメーカーブランドではなく、プロバイダーブランドのクルマが登場する可能性もある。メーカーがプロバイダーの下請けになってしまうのだ。

この構造は、かつて家電業界で起きたことと類似している。ヤマダ電機などの大手安売り流通が台頭すると、流通側からスペックや価格が指定され、それをメーカーが呑む形となった。この結果、家電産業の主導権はメーカーから流通に移った。冷蔵庫、テレビ、洗濯機などの家電製品はメーカーごとの「差異」はそれほどなく、消費者から見れば「どれを買ってもほぼ同じ」なので、結局は価格勝負になってしまった。

大衆車の領域でも「家電化」が進もうとしている。一般論として自動車メーカーは、過剰なスペックのクルマを市場に押し出し、高い価格を維持してきた。バブル崩壊後の日本経済でデフレが進んで、あらゆる物価が下がってきたのに、クルマの価格が高止まりしているのは、主にこうした理由からだ。大衆車にカーシェアが普及すれば、この「作戦」は通用しづらくなる。

トヨタ自身がプラットフォーマーを目指す

今後起こりうるこうした課題をクリアしていくためには、何が必要か。その解の一つが、トヨタ自身がプラットフォーマーになることだ。家電業界では、パナソニックもシャープもソニーも「ヤマダ電機」にはなれなかったが、トヨタは「大衆車のヤマダ電機」になろうとしているのだ。

「モビリティサービスの会社に変身する」と豊田氏が公言しているのも、その流れに対応するためだ。ただ、トヨタはモノづくりの会社としての力は世界で一流だが、プラットフォーマーになるためには、業界の垣根を超えてグローバルに連携して仲間づくりをしていくノウハウが求められる。この点は、「人たらし」と言われて世界中の経営者にパイプがある孫氏率いるソフトバンクに軍配が上がる。

トヨタはプラットフォーマーになるために、自社にない能力をソフトバンクに求めたとも見て取れる。

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